全国学力・学習状況調査の結果

令和7年度 全国学力・学習調査の結果

1.各教科の結果考察

<国語科の調査結果にみられる現状>

漢字の読み書きについては、不得意な生徒が多い印象である。その中でも、特に漢字を書く問題については、習熟に差がある。また書くことに対する苦手意識は、本校の継続的な課題として挙げられる。普段の授業では、国語に限らず、授業のまとめや学んだことなどを振り返ってノートに記述する時間を設けているが、自分の感想を書く力ではなく、設問を読み内容を理解して作文などに取り組む力を身につけることが必要である。

<数学科の調査結果にみられる現状>

数と式の分野と記述式の問題に課題がある。計算のやり方があいまいな部分があったり、それを使って正確に計算する技能と、自分の考えを文章で説明する力を伸ばす必要がある。まず、計算などの正確な知識と、自力で解決する時間の確保や振り返りを文章で書く時間をとる場が大切になる。

<理科の調査結果にみられる現状>

目に見える具体的な事象を扱う生命・地球分野(第2分野)においては、基礎的な知識が着実に定着してるが、エネルギーや粒子といった目に見えない抽象的な概念を扱う物理・化学分野(第1分野)の理解に課題がある。この課題は、実験結果などの根拠をもとに「なぜそうなるのか」を自分の言葉で説明する記述式の問題で顕著に見られる。まず、モデルやシミュレーションなどを積極的に授業に取り入れ、目に見えない現象を視覚的にイメージさせ、実験の考察などにおいて、根拠と結論を結びつけて考える思考の型を繰り返し学習することが必要である。

 

2.質問調査の結果考察

全体的には全国平均と同じ水準であった。生徒は主体的な学びが徐々に実感できており、ICT機器も活用し、学習効果を高めている。各教科の学習意欲に関しては全国平均と同じ水準であるが、理科が国語と数学に比べて高い値を示しており、ICT機器の活用や実験など活動を伴う学習が生徒の興味関心を高めたと考えられる。

課題となるのは、生徒の学習習慣の確立である。今年度全国水準よりやや低い値を示したが、これは今年度のみの話ではなく、継続して課題となっている部分である。基礎学力の向上を学校の重点目標としており、生徒が学習へより前向きに取り組む態度を養う必要がある。

 

3.今後の改善方法について

<国語科>

書く力や漢字の読み書きについて、朝学習や授業場面、家庭学習など、生徒が習熟を図るための時間を確保する方法を考えて実践し、小テストや定期テスト、実力テストなどでその成果を継続して観察していく。

<数学科>

一次関数の比例定数=変化の割合であること、変化の割合=yの増加量/xの増加量であることなど、基本的な定義をおさえることを大切にする学習を進めていく。また、関数の分野で対応表、式、グラフを連動させて、知識を深めることを大事にし、比例は一次関数の原点を通る時であるなど、既習事項と関連させながら学習を進めていく。小テストや定期テスト、実力テストなどでその達成度を継続して確認していく。

<理科>

理科の授業全体(普通教室・理科室)を通じて、常に「問題発見→予想→(計画)→実験→結果・考察→振り返り」という探究のサイクルを意識した発問と活動を取り入れ、予想と根拠の記述: 実験前に必ず「予想」と「そう考えた理由」をセットでノートやワークシートに書かせ、グループで共有し、多様な考えに触れさせ、授業の最後に、「学習問題に対する自分のまとめ」「今日の実験でわかったことは何か」「次に知りたいこと、新たな疑問は何か」を記述させ、学びの連続性を意識させるなどの工夫をしていく。その結果を小テストや定期テスト、実力テストなどで継続的に見ていく。

<質問調査>

生徒の学習習慣の確立については、朝学習の活用や、日頃の授業や課題の設定、自学ノート導入など工夫をしている所である。それぞれの、学年や生徒の実態に合わせて、家庭との連携も含めて学校全体で生徒の学習習慣の確立を継続的に取り組んでいく。


令和6年度 全国学力・学習状況調査の結果

    毎年、全国学力学習状況調査として、中学3年生の国語と数学の学力検査が行われています。

それを基に、本校の結果や改善点についてまとめましたので、ご報告いたします。


【はじめに】

 この調査について説明いたします。調査は、国語・数学の学力診断をそれぞれ50分ずつ行いました。また、学習状況を把握するためのアンケート調査を20分程度実施しました。

 また、アンケート調査は、検査した教科に関する以外にも、「朝食を毎日食べていますか」や「新聞を読んでいますか」等の生活習慣に関すること、「今住んでいる地域の行事に参加していますか」など地域社会との関わり(ボランティアの参加状況)を選択肢の中から選ぶ質問もありました。

 全員が正解すると正答率100%で、これを100ポイント(以下、ptと表記)で表し、全国や県、学校集団の単位でptが出され、全体的な傾向を捉えることができます。しかし、あくまで集団全体の傾向(平均)であり、個々の結果ではありません。

 この調査の目的が、それぞれ集団全体の傾向を把握して、今後の学習指導の改善や生活指導に生かすためのものであり、本校でもこの結果を考察し、これからの教育活動の改善・向上につなげていきたいと考えています。

 

【結果と傾向】

(1)全体

 各教科ともに本校の正答率は、全国や県の平均のptを下回っています。また、短答式の問題に比べ、選択式・記述式の正答率が各教科ともに低い傾向でした。ここから、回答に時間がかかりそうな問題や文章で自分の考えをまとめ答える問題を苦手にしている生徒が多いことがわかりました。

 

(2)国語(問題数15)

 上記の通り、ほぼ全分野の問題において正答率が全国や県の平均のptを下回っています。その中でも「表現の効果を考えて描写するなど、自分の考えが伝わる文章になるように工夫することができるかどうかをみる」に関する問題の正答率は大幅に低い値を示しています。「書くこと」の平均正答率も大きく下回っていることからも自らの考えを表現することに関して課題が見られます。そのため、授業内でもまとめやふり返りなど書く習慣を増やし、書くことへの苦手意識をなくしていきたいと思っています。また、国語だけでなく、他教科も含め、自らの考えを書く場面を増やしていきたいと考えています。「話すこと・聞くこと」については、平均近く問題を解くことができています。特に「必要に応じて質問紙ながら話の内容を捉えることができるかどうかをみる」問題では、全国や県の平均のptを上回りました。このことから「話すこと・聞くこと」が比較的できているため、そこから文章化できるようにこれからの学習で生かしていきたいと思います。

 

(3)数学(問題数16)

 ほぼ全分野の問題において正答率が全国や県の平均のptを下回っています。その中でも「複数の集団のデータの分布の傾向を比較して読み取り、判断の理由や数学的な表現を用いて説明することができるかどうかをみる」問題の正答率は大幅に下回っています、国語同様に説明するというような考えを文章化することに関して、課題が見られます。また、「数や式」や「データの活用」の分野を苦手にしている生徒が多いことがわかります。「連続する二つの偶数を、文字を用いた式で表すことができるかどうかをみる」問題でも大きく平均値を下回っており、「数や式」の知識・技能について課題があり、基礎・基本の定着を行っていく必要があると感じています。「筋道を立てて考え、証明することができるかどうかをみる」問いに対しては、全国や県の平均値よりも高いptであるものの、無回答率が高く表れています。この結果から生徒によって理解の差が大きいことがわかります。無解答率を少しでも減らすことができるよう授業内でも互いに学び合う共同学習の時間を増やしたり、少しでも書けるよう基礎の確認を行ったり、工夫して授業に取り組んでいきたいと思います。

  

(4)学習状況アンケート(質問数69)

    「あなたの学級では、学級生活をよりよくするために学級活動で話し合い、互いの意見のよさを生かして解決方法を決めてますか」「学級活動における学級での話合いを生かして、今、自分がすべきことを決めて取り組んでいますか」という2つの問いに対して、「あてはまる」と回答した生徒が全国や県の平均値を大きく上回っています。それだけでなく、「自分と違う意見について考えるのは楽しいと思いますか」という問いに対しても平均値よりも高い値になっています。このことから意見が異なっていても互いを認め、話合ってよりよいものを目指していることがわかります。

 「普段(月曜日から金曜日)、1日当たりどれくらいの時間、携帯電話やスマーフォンでSNSや動画視聴をしますか(携帯電話やスマートフォンを使って学習する時間やゲームをする時間は除く)」「普段(月曜日から金曜日)、1日当たりどれくらいの時間、テレビゲーム(コンピュータゲーム、携帯式のゲーム、携帯電話やスマートフォンを使ったゲームも含む)をしますか」という2つの質問では、それぞれ「4時間以上」(選択肢の中で最も時間が長いもの)という回答が全国や県の平均値よりも大きく上回っています。スマートフォン等を長時間使用し、過ごしている生徒が多いことがわかります。また、「学校の授業時間以外に普段(月曜日から金曜日)、1日どれくらいの時間、勉強しますか(学習塾で勉強している時間や家庭教師の先生に教わっている時間、インターネットを活用して学ぶ時間も含む)」や「土曜日や日曜日など学校が休みの日に、1日どれくらい、勉強しますか(学習塾で勉強している時間や家庭教師の先生に教わっている時間、インターネットを活用して学ぶ時間も含む)」が全国や県の平均値より短いことがわかります。これらの結果から、家庭で過ごす時間の使い方が本校の課題の一つとなっていると考えられます。昨年度同様になりますが、生徒の学力を向上させるためには、計画的な家庭学習ができるよう各家庭にご協力をいただき、1日当たりのテレビゲームやSNS・動画視聴の時間を減らすことがポイントになると考えられます。

 

【成果と課題】 

上記の通り、本校の大きな課題が計画的な家庭学習が挙げられます。そのためには、家庭での過ごし方を考える必要があります。特に1日当たりのテレビゲームやSNS・動画視聴の時間が平均値よりも高い値を示していることからも学校で使い方について考えさせ、各ご家庭でももう一度ルールを確認していただけたらと思います。また、長期休暇の宿題では、eライブラリを使用した宿題を出した教科もありましたので、是非家庭学習でも活用していただけたらと思います。

 また、記述式の問題に関しては、無回答率が他の形式の問題より高くなっています。そのため、上記にも述べましたが、授業内でもまとめやふり返りなど書く習慣を増やし、書くことへの苦手意識をなくしていきたいと思っています。また、国語だけでなく、他教科も含め、自らの考えを書く場面を増やしていきたいと考えています。今後はさらにこれを充実させて、自分の考えしっかりまとめ、表現する力を身に付けられる生徒の育成をめざし、記述式の問いに対する無回答率を減らしていきたいと思います。

 以上の結果を踏まえ湖北台中学校では、

 ① 家庭学習の時間を増やすため、楽しいと思える授業づくりを行う。

 ② 主体的・対話的で深い学びの充実を図り、自分の考えをまとめ表現する力を身に付けられる生徒の育成をめざす。

の2点に力を入れ、生徒の資質・能力を高めて行くことが課題となると考えます。