終業式
R8 1学期末終業式 校長の話 R8.7.17 【HP版】
1学期は、2年生も3年生も特に2泊3日の大きな宿泊行事を準備し、やり遂げました。大きな成果がありました。
1年生は中学校生活のスタート、どうだったでしょうか? 新しい学習、新しい友達、部活動。清水公園に班別行動で行くという挑戦もしました。
さて、今学期は、サッカー・ワールドカップの日本代表、我孫子中の先輩である中村敬斗選手の大活躍にわきました。オランダ戦の同点ゴールやチュニジア戦のアシストに歓喜の声を上げ、卒業生の活躍を誇らしく思いました。また、決勝トーナメントの強豪ブラジル戦、最後まで諦めないサムライ・ブルーの戦いに、感動をもらいました。
そのブラジル戦終了直後、ピッチの上で一人、泣き崩れる選手がいました。ミッドフィルダーの田中碧(あお)選手です。彼はこれまで、守備では再三のピンチを救い、ゴールやアシストを決めてきた中心選手です。しかし、勝負の世界は残酷、ブラジル選手から奪い取ったボールを別の選手に奪われ、その後に決勝ゴールを決められてしまいました。無情なホイッスル、「もっとできたはず」「自分のせいだ」――。そんな強い責任感と悔しさが、彼を支配していたのかもしれません。
その時、一人の選手が、泣き崩れる田中選手のもとへ歩み寄りました。ブラジル代表のクーニァ選手です。勝利で大喜びする自チームの輪から一人離れ、田中選手に寄り添い、肩を抱き寄せ、耳元で言葉をかけ続けたのです。その姿は、国境や勝敗を越えて、深い敬意に満ちあふれていました。
クーニァ選手は田中選手と同じリーグで対戦しており、そのプレーを高く評価し、認め合っているのだと思います。そして、田中選手がどれほどの重圧を背負い、とてつもない努力を重ねてこの場に到達したかを知っているでしょう。だからこそ、敗けた痛みに共感し、心から慰め、讃えたのです。後にこうコメントしています。「彼は本当に素晴らしい選手であり、母国のためにプレーしていることは尊敬されることなんだ」と。
私はこの光景から、皆さんに2つのことを伝えたいと思います。
1つ目は、「本気の悔し涙は、格好悪いことではない」ということです。
皆さんも今までに思い通りの結果が出なくて、悔しい思いをした瞬間がありませんでしたか?「テストで目標に届かなかった」「最後の葛南総体で負けてしまった」「友達との関係にヒビが入った」。真剣に向き合ったからこそ、湧き上がる悔しさがあります。その悔し涙は、次のステップへ進むためのエネルギーになります。
2つ目は、「他人の痛みに寄り添える人になってほしい」ということです。
クーニァ選手が示した行動、それこそが「リスペクト(相手を敬う心)」です。学校生活の中でも、自分の成功だけを喜ぶのではなく、失敗した友達をバカにしたりしない。落ち込んでいる仲間がいたら、それに気づき、そっと声をかけられる。そんな強い優しさを、皆さんにも持ってほしいと思います。多分、この中には「リスペクト(相手を敬う心)」の精神を持っている人がたくさんいると、私は確信します。
今、「他人の痛みに寄り添える人に」ということを言いました。中学生はよく間違えたり、失敗したりします。身体も心も成長する途中だから仕方ありません。そして、残念なことに、友達関係や先輩・後輩関係、先生との関係、家族との関係がうまくいかないことがあります。お互い様の時ももちろんありますが、傷ついた人がいたということは、傷つけた人がいるということです。他人を傷つけてしまった人は、相手の悲しみと自分のしたことに向き合い、反省し、謝りましょう。それが、やり直しです。私は、毎年の入学式で「やり直しのできる学校でありたい」と言います。素直に認めず言い訳したり、自分だけじゃないと開き直ったり、己を守るために嘘の情報を流したり…。そんなことではやり直しはできません。相手の悲しみや自分の弱さに向き合うことは苦しいことです。しかし、それは必要な痛みです。我孫子中の生徒は、優しくて広い心を持っています。自分が変われは、周りの目もきっと変わります。それは、みんなが通る道。人間関係のいろいろは、大なり小なり小学校の時も経験をしてきたでしょう。そして、大人になっても何かしら起こるものです。小学校では、「自分がされて嫌なことは友達にはしない」と教わってきました。中学校では一歩進んで、「対手が嫌だと思うことはしないという『想像力』」が大切です。それに加え、受け取り側の「想像力」も必要です。相手の真意を読むのです。「相手は、何を言いたいんだろうか?」「なぜこんな言い方をするのか」と想像力を働かせます。理解できない時は、「どういうこと?」尋ねます。「その言い方、嫌なんだけど」と伝えます。気持ちのすれ違いを言葉で補っていく。目の前のおかしな光景には、第三者が「それ変じゃないですか?」と伝える。そんなやり取りが、中学生から大人になる過程で必要です。
互いを尊重する、違いを認める、というのは自然にできることではなく、意識しなければできるようになりません。しかし、悪意がなく、人を信じる気持ちがあれば…。私は皆さんなら十分に実践できることだと信じています。
さて、明日から夏休みです。3年生にとって部活動の集大成を迎えています。明日、明後日が大勝負の部もあります。ぜひ、日頃の練習どおり、平常心で、自分の持てる力を発揮することを期待しています。
また、学習面では、夏休みらしい普段できない探究学習に浸って欲しい。博士ちゃん、キラビトの出現を待ち望んでいます。終わります。